文字面だけを追うと一見傲慢にも受け取れる「私、失敗しないので」という言葉ですが、作中を描くエピソードを追うごとに、その言葉に込められた極限の心理状態とプロとしての誠意が浮き彫りになります。
ドラマの劇中において、未知子は「失敗しない」理由を問われた際、次のように語っています。
「失敗したら、患者は死ぬの。だから失敗しないの」
手術台の上の患者にとって、執刀医の失敗は取り返しのつかない事態を意味します。未知子は神の手を持つ全能の存在として奢っているのではなく、誰よりも患者の死を恐れ、誰よりも重い責任を引き受けているからこそ、自らを追い込む自己暗示の言葉としてこのセリフを口にしています。術前の徹底的なシミュレーションと誰よりも丁寧な縫合技術という裏付けがあるからこそ、この言葉は重く、美しく響くのです。