「口内炎=痛い」というイメージが強いため、「痛くないからがんではない」と自己判断してしまう患者が少なくありません。しかし、これこそが最も危険な誤解です。
一般的な口内炎は神経が集中する粘膜の浅い層が炎症を起こすため、飲食や接触時に強い激痛を伴います。これに対して、口腔がんの初期段階では神経線維を強く刺激しないため、全く痛みを伴わない無痛性の病変として進行することが珍しくありません。むしろ「痛くないのに粘膜が荒れている」「触ると違和感がある」状態こそ警戒が必要です。
口腔がん全体の約半数を占める舌がんでは、好発部位の約8割が「舌の側面(舌縁部)」に集中します。指で軽く触れた際、口内炎のような柔らかい感触ではなく、硬い芯のような「しこり(硬結)」が触れる場合は、がん細胞が粘膜下組織へ増殖している有力な証拠となります。