表書きや中袋の書き方には、古くからの慣習に基づいた細やかな作法が存在します。特に質問が多い「墨の濃淡」「水引の選び方」「連名の順序」について、現場の実務に即して解説します。
1. 筆と墨の使い分け:薄墨と濃墨の境界線
通夜や葬儀では「突然の訃報に涙で墨が薄れてしまった」という意味を込めて薄墨を用いますが、四十九日法要以降の御佛前では通常の濃い黒墨(濃墨)を使うのが正式なマナーです。あらかじめ法要の日程が決まっており、準備をして参列するため薄墨を使う必要はありません。ただし、万が一薄墨で書いてしまった場合でも、弔意そのものが否定されるわけではありません。
2. のし袋と水引の選び方
法要で用いる不祝儀袋には、二度と繰り返さないことを意味する「結び切り」の水引を選びます。 地域によって慣習が異なり、東日本・全国的には「黒白の水引」または「双銀の水引」が広く用いられますが、関西・北陸地方では「黄白の水引」が四十九日法要以降の主流となっています。包む金額が1万円未満なら水引が印刷された簡易袋、1万〜3万円なら本水引の金封、5万円以上の高額なら高級和紙を使用した大判の袋を選ぶのが釣り合いとして適切です。
3. 外袋と中袋の書き方・大字(旧字体)の表記
外袋の水引の上段中央に「御佛前」または「御仏前」と書き、下段中央に差出人の氏名をフルネームで記載します。御佛前を連名で書く場合は以下の順序に従います。
- 2名〜3名の場合:右側から地位・年齢が高い順にフルネームを並べて書きます(同等の場合は五十音順)。夫婦連名の場合は右に夫のフルネーム、左に妻の名のみを記載します。
- 4名以上の場合:代表者の氏名を中央に書き、その左下に「他一同」または「外一同」と書き添え、全員の氏名と住所・金額を書いた別紙を中袋に同封します。
香典袋の中袋表面中央には金額を漢数字の大字(旧字体)で「金 壱萬圓 也」のように縦書きで記入し、裏面左下に郵便番号・住所・氏名を記載します。