会津坂下町を語る上で絶対に外せないのが、全国屈指の評価を誇る会津馬刺しだ。畜産業・郷土料理として根付くこの食文化は、脂身の少ない鮮やかな赤身肉を、特製のにんにく辛子味噌で食すのが流儀である。口に運んだ瞬間に広がる濃厚な旨味と、驚くほどの柔らかさ。地元精肉店の店主は「鮮度と職人の確かな包丁技術が味を左右する」と誇らしげに語る。
そして、この至極の肉料理に寄り添うのが、世界的な銘酒「飛露喜」を手がける廣木酒造本店をはじめとする酒蔵の存在だ。厳冬期の澄み切った大気と清らかな伏流水、選び抜かれた地元産の酒米。伝統の技法に革新的な情熱を注ぎ込む蔵人たちの哲学が、一口ごとに染み渡る。食と地酒が見事な調和を見せるこの町は、まさに美食の隠れ里と呼ぶにふさわしい。