場内に足を踏み入れてまず圧倒されるのは、北海道の生態系の頂点に君臨するエゾヒグマたちの圧倒的な質量感だ。立ち上がれば2メートルを優に超える巨体が、器用に前足を振って観光客にリンゴやおやつをねだる。その愛嬌ある仕草に思わず頬が緩むが、彼らが放つ野生の気配は決して消えていない。
この施設最大のハイライトが、通称「人の檻」と呼ばれる特別観察エリアだ。文字通り、頑丈な強化ガラスと鉄格子で囲まれた空間に人間が入り、周囲を取り囲むクマたちを下から見上げる構造になっている。ガラス一枚を隔てたわずか数十センチ先で、巨大な鼻先がフガフガと荒い息を吹きかけ、鋭利な爪がガラスを軋ませる。餌の投入口からリンゴを差し入れた瞬間、光る眼球孔と牙のリアルな質感が網膜に焼き付く。まさにネイチャードキュメンタリーの特等席に放り込まれたような戦慄と興奮だ。