本作のもう一つの主役は、1980年代末期の東京そのものだ。湾岸エリアの倉庫街、洗練されたカフェバー、肩パッドの入ったスーツ、そしてZIGGYによる主題歌『GLORIA』の疾走感あふれるビート。画面の隅々に至るまで、時代の熱気と高揚感が充満している。
当時のトレンディドラマは、最先端のライフスタイルを提示するトレンドセッターとしての役割を担っていた。しかし本作が特別なのは、そうした記号的な華やかさの裏側に、どこか冷え冷えとした都市の孤独を忍ばせていた点にある。
ネオン煌めく大都会で、自分だけの居場所を探し求める登場人物たち。その姿は、高度消費社会へと突き進む当時の日本人が無意識に抱えていた虚無感を、見事に鏡のように映し出していた。