終電後の闇を駆ける黄色い巨体!マルチプルタイタンパーの仕組みと正体

終電後の闇を駆ける黄色い巨体!マルチプルタイタンパーの仕組みと正体

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深夜の闇を切り裂く轟音とともに現れるマルタイ保線車両の正体は、鉄道のレールと枕木、そしてその下に敷き詰められた砕石(バラスト)を整える保線用大型機械だ。営業用の電車や気動車とは異なり、国土交通省の区分上も「鉄道車両」ではなく「線路保守用機械」として位置づけられているケースが多く、原則として車籍(鉄道車両としての戸籍)を持たない。そのため、昼間に一般列車と混ざって本線を走ることはなく、各駅の側線や保守用基地の奥深くに身を潜めている。

日本国内の線路網で稼働しているマルタイの多くは、オーストリアに本社を置く世界最大の保線重機メーカープラッサー&トイラー(Plasser & Theurer)社製、あるいはマティサ(Matisa)社製などの欧州インポート機、そして国内メーカーがライセンス生産や独自改良を手掛けたマシンだ。プラッサー社のマシンはひときわ目を引く鮮やかな警戒イエローで塗装されており、全長数十メートル、重量数十トンから100トンにおよぶ巨躯を誇る。

なぜ彼らは終電後にしか動かないのか。最大の理由は、日本の精密かつ過密な鉄道ダイヤを1分たりとも妨げないためだ。列車の営業運転が完全に終了した深夜、運行管理センターが該当区間の信号を制御し、他の列車が物理的に進入できない状態(線路閉鎖)を確立して初めて、マルタイはその重い巨体を本線上へと滑り出させる。始発列車が動き出すまでのわずか約3〜4時間という限られたタイムリミットのなかで、一切のミスなく数キロにわたる軌道を修復する極限のミッションが、毎夜繰り広げられている。

橋本 菜々子
著者

橋本 菜々子

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。