昭和世代にとって、亀屋万年堂といえば巨人の世界的ホームランバッター・王貞治氏が出演した伝説のテレビCMを切り離して語ることはできません。「ナボナはお菓子のホームラン王です」というキャッチコピーは、洋菓子と和菓子の境界を融解させたブッセ菓子として、高度経済成長期の日本中に浸透しました。
この強烈な原体験を持つ長年のファン層からすれば、ブランド体制の変更に対して複雑な感情を抱くのは無理もありません。買収当初、SNS上では「シャトレーゼの安売りイメージに染まってしまうのか」「味が落ちたら二度と買わない」といった厳しいネットの反応や口コミが散見されました。
しかし、実際にリニューアル後のナボナを口にした愛好家の評価は、予想を裏切る形でポジティブな方向へと傾いています。SNSやグルメサイトに寄せられた利用者の生の声には、明確な変化が刻まれています。
「子どもの頃から食べていたナボナと食べ比べて驚いた。生地のパサつきが一切なく、しっとり感が別次元。中のチーズクリームもフレッシュで、昔より確実に美味しくなっている」(40代・世田谷区在住・購入歴30年)
「自由が丘総本店限定の生ナボナを食べたら、これまでのブッセの概念が覆された。手土産だけでなく、自分へのご褒美スイーツとして週に1回は立ち寄っている」(30代・目黒区勤務・会社員)
一方で、「昔の少し素朴でカステラに近い生地感が好きだった」「パッケージデザインがモダンになりすぎて、昭和のレトロな風情が薄れた」という懐古的な声も一部に残っています。しかし、全体として「伝統のブランドアイデンティティを守りながら、味の純度を高めた」という実態が支持を集めています。