すべての物語は、東京都新宿区下落合の静かな一角から始まった。かつて染色工場が立ち並び、職人たちの息づかいが残るこの町で、ブランドの創業者であるコーラ小林は自らの手でスパイスを挽き、大鍋をかき混ぜ続けた。
原点となったのが、青い鳥の名を冠した「カワセミ号移動販売プロジェクト」だ。小さなクラシックカーを改造した移動販売車に手作りのシロップと炭酸を積み込み、週末のファーマーズマーケットへ繰り出す。灼熱の太陽の下や肌寒い夕暮れ時、小林が手渡すカップから立ち上る鮮烈な香りは、通りかかる人々の足を止めさせた。「これが本当にコーラなのか?」という驚きは瞬く間に口コミで広がり、気づけば行列は途切れることがなくなった。
無謀な挑戦だと嘲笑する声もあった。だが、現場で直接顧客と対話し、一杯ずつ炭酸を注ぐ地道な積み重ねこそが、熱狂的な支持基盤を築く揺るぎない土台となったのだ。