京都のあぶらとり紙が全国にその名を轟かせた背景には、京都特有の職人文化とエンターテインメントの歴史が深く関わっています。
もともと京都は、仏具や工芸品に使われる金箔の加工が盛んな街でした。金箔を薄く均一に延ばす工程で使われていたのが、極上の和紙「金箔打紙(きんぱくうちがみ)」です。金を叩く過程で紙の繊維が極限まで細かく潰され、驚くほどの吸油力を持つこの紙を、祇園の芸妓や舞妓たちが化粧直しに再利用し始めたのが文化の始まりとされています。
昭和初期には、映画の街として栄えた京都・太秦の撮影所でも重宝されました。強い照明の下でドーラン(舞台化粧)を崩さずに余分な皮脂だけを取るアイテムとして、銀幕の女優たちがこぞって買い求めたことで、京都のあぶらとり紙は「プロ御用達のコスメ」として定着していったのです。