産休復帰後、2000年代初頭の安室奈美恵は大きな転換期を迎えます。小室プロデュースを離れ、SUITE CHIC(スイート・シーク)プロジェクトへの参加をきっかけに、自らが心から愛するR&B・ヒップホップ路線へと大きく舵を切りました。
当時の音楽業界では「小室ファミリーの失速」「CD売上の低下」と報じられることも少なくありませんでした。しかし、彼女はテレビ番組への過度な出演を控え、「ライブこそがアーティストの主戦場」という明確なヴィジョンを掲げて全国ツアーを地道に回り続けました。
その実直な活動が結実したのが2008年です。CMタイアップ曲『Baby Don't Cry』のロングヒットを経てリリースされたベストアルバム『BEST FICTION』が155万枚を超える大ヒットを記録。オリコンアルバムチャートで6週連続1位を獲得し、10代・20代・30代の3年代連続でアルバムミリオン突破という史上初の偉業を達成しました。作られたアイドルから「自立した本物の実力派アーティスト」へと完全に脱皮した瞬間でした。