上社境内には、参拝者が直に神気と触れ合えるユニークな体験が数多く用意されている。訪れた際に体験しておきたい名物を具体的に紹介する。
1. 遠州の空に願いを放つ「かわらけ投げ」の作法
本殿の東側、断崖絶壁に面した遥拝所広場で行えるのが名物の「かわらけ投げ」だ。素焼きの小さな皿(かわらけ)に自らの厄や願いを託し、谷底に向かって設置された巨大な鉄の輪(円陣)をめがけて力一杯投げ落とす神事である。
- 初穂料:3枚1組で数百円(社務所または専用の授与所で購入可能)。
- やり方:まず皿に油性ペンで「厄除」「家内安全」「心願成就」などの願い事や名前を墨書する。遥拝台の立ち位置から崖下を見据え、深呼吸をしてから遠方の輪を狙ってサイドスローまたはオーバースローで投じる。
- 意味合い:皿が見事に輪をくぐれば大願成就、たとえ輪を外れても、空中で皿が砕け散ることで自らの厄が木っ端微塵に払われるとされる。眼下に広がる広大な空へと皿が吸い込まれていく感覚は、他では味わえない圧倒的な爽快感をもたらす。
2. 魂を揺さぶる力強い「御朱印」の受印
社務所(授与所)でいただける御朱印は、神仏習合時代の修験の風格を今に伝える豪快な墨書が特徴だ。中央には力強く「秋葉山本宮秋葉神社」と揮毫され、火防の神紋や天狗の羽うちわを模した朱印が鮮烈に押される。季節や神事の節目には特別デザインの金文字限定御朱印が頒布されることもあり、多くの御朱印愛好家が列を作る。受付時間は午前9時00分〜午後4時00分頃までとなっているため、山上の日没の早さも考慮し、時間にゆとりを持って訪れたい。
3. 天狗伝説を受け継ぐ「天狗みくじ」とお守り
秋葉山は古くから「秋葉三尺坊威徳大権現」と呼ばれる天狗が火防の守護として飛翔した伝説が根付いている。授与所でひときわ人気を集めているのが、真っ赤な天狗の顔をかたどった陶器製の「天狗みくじ」だ。愛嬌がありつつも凛々しい天狗の体内に吉凶のおみくじが収められており、引いた後の陶器はお守りとして自宅のリビングや玄関に飾ることができる。
また、火難を絶対に寄せ付けない強い加護が込められた「火災防護御守」や、キッチンに貼る「火防御札」は、一般家庭からプロの料理人まで欠かさず受けていく定番授与品である。