『安奈』が色褪せない最大の要因は、その卓越したアレンジメントにあります。楽曲の顔とも言えるイントロは、スパニッシュ・フラメンコを思わせる哀愁のガットギターと、きらびやかな12弦アコースティックギターの重層的なアンサンブルによって構築されています。
ギター愛好家の間でもコードワークの研究が盛んに行われており、基本はAm(イ短調)を基調としながらも、随所に配されたテンションコードやベースラインのクリシェ下降(Am → Am/G → Am/F# → Fmaj7といった切ない進行)が、聴き手の感情を強く揺さぶります。
ギタリストの大森信和を中心とする甲斐バンドのアンサンブル力に加え、アコースティック・ギターの名手である吉川忠英や徳武弘文らスタジオミュージシャンとの化学反応によって、歌謡曲ともフォークとも異なる「無国籍で硬派な大人のロックバラード」の音像が完成しました。