海抜250メートルの高層階に位置する森アーツセンターギャラリー。都市の文化発信拠点として数々の世界的企画を手がけてきた森ビル株式会社のキュレーションにより、会場はかつてないスケールで北欧ファンタジーの深奥へと鑑賞者を誘う。
展示の核となるのは、作者トーベ・ヤンソンが遺した直筆スケッチや初期の挿絵群だ。第二次世界大戦の暗影の中で生まれた初期作品から、国際的な名声を得た円熟期に至るまで、フィンランド児童文学の金字塔が築かれた軌跡が丹念に紐解かれている。荒削りな線画のなかに宿る孤独と慈愛。作家の精神世界が、六本木の空景と美しく共鳴している。