桜餅の葉を食べるか剥がすかの議論が紛糾する背景には、関東発祥の「長命寺(ちょうめいじ)」と、関西発祥の「道明寺(どうみょうじ)」という二大系統における構造的・素材的な差異が深く関係しています。
関東の長命寺は、小麦粉を主原料とした薄いクレープ状の生地で餡を包み、それを2枚から3枚の大判の葉で完全に覆うスタイルが主流です。複数枚の葉で包む目的は、薄皮生地の急激な乾燥を防ぎ、強い芳香を餅へと移すことにあります。大判の葉は葉脈(筋)が太く固いため、一緒に口へ運ぶと生地のなめらかな舌触りを損ねてしまうケースが多く、剥がして食べる人が目立ちます。
対照的に、関西の道明寺は道明寺粉(もち米を蒸して乾燥させ粗挽きにしたもの)を用いたつぶつぶとした餅生地で餡を包み、1枚ないし上下2枚の桜葉で挟み込みます。餅の水分と粘り気によって葉がぴったり密着し、柔らかく漬け込まれた小ぶりな葉が使われる傾向にあるため、もちもちした食感と葉の繊維が一体化しやすく、一緒に食べる人の割合が関東に比べて格段に高くなります。