三次市を語る上で絶対に外せないのが、全国の妖怪ファンを魅了してやまない「湯本豪一記念日本もののけミュージアム」だ。日本初の妖怪専門博物館として誕生したこの施設は、2026年の今もなお、新たな企画展やデジタル体験の導入によってその進化の手を緩めていない。展示の核心にあるのは、江戸時代中期の三次を舞台にした実在の怪異譚『稲生物怪録』である。
当時、若干16歳の藩士・稲生平太郎が30日間にわたり遭遇した数々の不可思議な妖怪たちとの体験談は、現代に至るまで絵巻物や戯作として語り継がれてきた。この伝説は近代以降のポップカルチャーにも多大な影響を与えており、三次を舞台にした宇河弘樹の傑作漫画・アニメ『朝霧の巫女』のモチーフとしても名高い。最近では動画配信サービスのU-NEXTなどで『朝霧の巫女』を事前視聴してから現地を訪れる旅人が増えており、作品の聖地巡礼と歴史探訪が交差する新たな体験が生まれている。三次が誇る熱い妖怪カルチャーは、単なる伝承を超えたエンターテインメントとして今や世界中へと広がりを見せている。