音羽屋の芸は、古くから世話物における市井の人々の生々しい感情描写に定評がある。七代目尾上菊五郎が極めた、江戸情緒と洗練されたリアリズムの神髄。それを眞秀は、デジタル時代を生きる若者の皮膚感覚で吸収し、ダイナミックにアップデートしようとしている。
伝統芸能の継承とは、過去の形式をただ保存することではない。何百年も前に生きた人々の情念や痛みを、現代の観客の胸に生々しく蘇らせる作業に他ならない。眞秀の舞台には、型をなぞるだけでは決して生まれない、剥き出しのパッションが宿る。高い敷居を感じていた若い世代を劇場へと引き戻す引力として、彼の存在感は日増しに大きくなっている。