東京・銀座にそびえ立つ歌舞伎座をはじめ、全国各地の劇場で開催される長期間の公演中、妻たちのスケジュールは過密を極める。早朝からの身支度に始まり、初日や千穐楽(せんしゅうらく)の挨拶回り、贔屓客からの差し入れに対する手配など、休む暇もない。単に夫の健康管理を行うだけでなく、興行全体が円滑に回るための「潤滑油」として機能している。
楽屋口での出迎えや見送り、贔屓筋の着席位置の把握、季節に応じた手土産の選定に至るまで、細やかな配慮が欠かせない。こうした裏方の努力があってこそ、役者は舞台上の演技だけに集中できる環境が整う。