医療相談ポータルやSNS、Q&Aサイトを分析すると、年末年始から冬場にかけて「お餅を食べた直後から胃がキリキリ痛む」「翌朝に激しい下痢に見舞われた」といった体験談が急増します。厚生労働省の統計等でも高齢者の窒息事故がクローズアップされますが、外来現場では消化器系の機能不全を訴える若年層〜中年層の受診も目立ちます。
Webコミュニティや生活者の投稿から浮かび上がるリアルな実態には、明確なパターンが存在します。
「正月に雑煮の餅を3個一気に食べたら、数時間後に脂汗が出るほどの腹痛に襲われた」(30代男性・会社員)
「焼いた切り餅に砂糖醤油をつけて間食にしたところ、夜中まで激しい胸焼けが続き眠れなかった」(40代女性・主婦)
「お腹を下しやすい体質なのに、お餅を食べたあと急激な腹鳴とともに水様便が出た」(20代女性・学生)
こうしたお餅による下痢や腹痛のメカニズムは、主に「未消化デンプンの小腸流入」と「高浸透圧負荷」によって説明がつきます。咀嚼が足りず、胃で十分にペースト状(粥状液)まで分解されなかった巨大な餅の塊が十二指腸を経て小腸へと滑り落ちると、小腸内の浸透圧が急激に上昇します。すると、濃度の高すぎる内容物を薄めようとして腸壁から管腔内へと大量の水分が一気に引き出され、これが腸管を過剰に刺激して浸透圧性の下痢や差し込むような腹痛を引き起こすのです。
さらに未消化のまま大腸に届いたアミロペクチンは、腸内細菌叢(そう)による急激な異常発酵の餌となります。これにより短時間で大量のガス(水素やメタン)が発生し、お腹の張りや強烈な腹鳴、腹部膨満感による苦痛を生み出す引き金となります。