原題は「The Three Robbers」。1961年にアメリカで出版されたトミー・アンゲラーの代表作であり、その後フランス語・ドイツ語・日本語をはじめ多数の言語に翻訳された。英語版は現在もPhaidon Press等から入手可能で、英語絵本の読み聞かせ愛好家にも長く支持されている。原書と日本語訳を並べて読み比べると、今江祥智の訳文が「原作の簡潔さ」と「日本語のリズム感」を絶妙に両立させていることがよくわかる。
アニメーション映画は2007年にドイツ・フランス合作で制作・公開された。監督はHayo Freitag。原作の世界観を忠実に再現しつつ、映像ならではの立体感でアンゲラーの独特のビジュアルを動かすことに成功した。ドイツ語版・フランス語版が先行公開され、後に英語吹替版も制作されているが、日本での劇場公開は限定的だった。ただしDVDや配信メディアを通じて視聴は可能であり、絵本と映像の両方で世界観を楽しめるのはこの作品の大きな強みだ。
アンゲラーのほかの代表作——絵本一覧と世界観の共通性
トミー・アンゲラーは多産な絵本作家であり、以下のような作品群を残している。これらを横断して読むと、三にんぐみとの思想的つながりが見えてくる。
- 『へびのクリクター』(1959年):老婦人に贈られたボアコンストリクターが、やがて街の英雄になる話。「外見で判断するな」というテーマがある。
- 『メロップス、空をとぶ』(1957年):ヘラルド・トリビューン賞受賞作。豚一家の冒険を描く。
- 『ゼラルダと人食い鬼』(1967年):少女が料理で人食い鬼を変える話。大人の暴力性を子どもが変えるという三にんぐみとの共通構造がある。
- 『ムーンマン』(1966年):月から地球にやってきた男が迫害される物語。社会の異質なものへの排除を批判する。
これらを俯瞰すると、アンゲラーが一貫して「社会から外れた存在の再統合と変容」を描いてきた作家であることが浮かび上がる。『すてきな三にんぐみ』はその集大成的位置づけにある。