調理に入る前段階の「筋取り」と「ヘタの処理」にも、食感を損なわないための合理的な手順が存在します。現在、日本のスーパーで主流となっている品種の多くは「筋なし品種」ですが、成長度合いや気温、収穫時期によっては太い筋が発達している個体が混在します。手でヘタをポキリと折り、そのままスーッと先端へ向かって引いた際、繊維が途切れずに付いてくる場合は反対側からも同様に筋を引く必要があります。包丁でヘタを一気に切り落としてしまうと筋の有無を判別できないため、最初の数本は手で折って確認するのが確実な選別法です。
茹で上げ後のプロセスにおいて、最も多くの人が誤解しているのが「冷水による色止め」の作法です。茹で上がったいんげんを氷水に浸ける目的は、余熱による過加熱を遮断し、クロロフィルの変色を食い止めることにあります。しかし、ここに大きな落とし穴が存在します。
氷水に浸ける時間は「30秒〜40秒」が限度です。粗熱が取れた瞬間にザルへ引き上げ、清潔なキッチンペーパーの上に広げて余分な水分を徹底的に拭き取らなければなりません。冷水の中に数分間放置し続けると、切り口や細胞の隙間から水分が侵入して組織が水浸しになり、水溶性ビタミンが水中に溶け出すだけでなく、調味料の絡みを著しく悪化させてしまいます。「急速冷却の直後に水気を断つ」ことこそが、みずみずしさと濃厚な豆の甘みを両立させる決定打です。