コメディやホームドラマで親しまれた彼女は、1990年代後半から日本映画界のトップ女優としてさらなる飛躍を遂げます。その最大の契機となったのが、映画監督・北野武との出会いでした。
1997年公開の映画『HANA-BI』(ヴェネツィア国際映画祭金獅子賞受賞)において、岸本加世子はビートたけし演じる主人公の不治の病に冒された妻役を熱演。劇中ではほとんど言葉を発しない役柄でありながら、視線やかすかな微笑み、佇まいだけで夫婦の絆と生と死の情念を表現し、第21回日本アカデミー賞 最優秀主演女優賞を受賞しました。
続いて1999年公開の映画『菊次郎の夏』でも、旅の途中で出会う心優しい母親役などを好演し、第23回日本アカデミー賞 最優秀助演女優賞を獲得。北野監督は「岸本加世子という女優は、カメラが回った瞬間に場の空気をガラリと変える本物の凄みを持っている」と公の場で語っており、その後も『Dolls』(2002年)や『TAKESHIS'』(2005年)など北野作品の重要キャストとして重用され続けました。