事件が公になったのは2016年9月のことでした。歌舞伎界の名門・成駒屋において、三代目中村橋之助が親子4人同時に大名跡「八代目中村芝翫」を襲名するという、半世紀に一度の歴史的慶事を目前に控えた極めて重要なタイミングでした。
その晴れ舞台に冷や水を浴びせる形で『週刊文春』が報じたのが、「中村橋之助、京都人気芸妓との連日密会」という決定的なスキャンダルです。報道によると、歌舞伎公演で滞在していた都内の高級ホテルや京都の花街で、夜な夜な逢瀬を重ねていた姿が克明にキャッチされました。
報道直後に開かれた緊急記者会見で、橋之助(当時)は終始緊張した面持ちで深々と頭を下げ、「私の不徳の致すところ」というフレーズを8回も繰り返す異例の事態となりました。男女の関係については「深く反省しております」と歯切れの悪い否定にとどまったものの、襲名披露興行の中止や延期さえ囁かれるほどの猛烈な逆風が成駒屋を襲いました。