大阪・関西万博に対する世論は、メディア空間とリアル空間で極端な二極化現象を引き起こしました。SNS(Xや5ちゃんねる、Yahoo!ニュースのコメント欄)では、開催前から閉幕に至るまで厳しい論調が支配的でした。
大阪万博ネットの反応をソーシャルリスニングデータや言論空間から分析すると、主に以下の3つの不満が繰り返し噴出していました。
- 「大人7,500円という入場料は高すぎる。庶民の家計感覚から乖離している」
- 「税金が医療や教育、被災地復興ではなく、一時的なイベントの木造リングに消えた」
- 「海外パビリオンの工事遅延が相次ぎ、日本のものづくりや運営能力に失望した」
知恵袋などのQ&Aコミュニティでも、「子連れで行く価値はあるか」「混雑に耐えてまで見るべき展示はあるのか」といった費用対効果をシビアに測る質問が多数を占めました。国民の多くは、「経済界や一部の政治勢力だけが利権で潤い、一般国民はツケを払わされるだけではないか」という不公平感を強く抱いていたのです。
ところが奇妙なことに、実際に夢洲の会場に足を運んだ来場者のアンケートや手記を丹念に追うと、現場の空気感はネットの猛批判とは大きく異なっていました。大屋根リングから見渡す瀬戸内海の眺望や、最先端のiPS細胞展示、空飛ぶクルマのデモンストレーション、各国の本場グルメに触れた人々からは、「前評判より遥かに見応えがあった」「子どもに見せられて良かった」という高い体験満足度の声が相次いだのです。
この「ネット上の猛反発」と「現場来場者の高評価」の断絶は、現代社会特有の情報消費バイアスを示しています。足を運ばない層は「増額された公費と税負担」というマクロな数字に怒りを感じ、足を運んだ層は「目の前の圧倒的な非日常体験」というミクロな感情に充足感を得ていました。両者の視点は根本からすれ違ったまま、プロジェクトの全日程が消化されたと言えます。