映画『全員死刑』の元ネタである「大牟田4人殺害事件」は、2004年9月、福岡県大牟田市で白日の下に晒された。暴力団系組長だった父親、その妻である母親、そして長男と次男の家族4人が共謀し、知人女性とその長男、次男、さらにその場に居合わせた友人の少年を含む計4名をわずか数日の間に次々と殺害・遺棄した凄惨極まりない強盗殺人事件である。
事件の発端は、一家が抱えていた深刻な金銭トラブルだった。当時、一家は多額の借金に追われ、生活困窮と暴力団組織への上納金未納による破門の危機に直面していた。そこで目をつけたのが、以前から金銭の貸し借りで関わりのあった知人の貸金業女性(当時58歳)である。一家は女性が多額の現金を自宅に保管していると決めつけ、その資産を強奪する計画を企てた。
犯行のプロセスは冷酷かつ杜撰を極めた。2004年9月16日夜、一家は女性を大牟田市内の自宅兼事務所に呼び出し、睡眠薬入りの睡眠導入剤を混入した飲料を飲ませて昏睡させた後、長男と次男が共謀して首を絞めて殺害。遺体から金を奪おうとしたが、目論んでいた額の現金は見つからなかった。計画の綻びを埋めるため、一家の狂行はさらにエスカレートしていく。
女性の失踪を不審に思った女性の長男(当時26歳)が一家に接触してくると、口封じのために長男の殺害を決意。9月18日未明、長男を呼び出し、拳銃で頭部を撃ち抜いて殺害した。さらに同日夜、母親と次男を探しに訪れた女性の次男(当時18歳)と、たまたま車に同乗していた友人の少年(当時17歳)までも拉致。少年は事件とは全く無関係であったにもかかわらず、一家は「生かしておけば警察にばれる」という身勝手な理由から、2人を車ごと諏訪川へ沈めて水死させたのである。
被害者の遺体が川から引き揚げられたワゴン車内や山林から次々と発見され、警察の捜査線上に一家が浮上。逮捕後の取り調べでも互いに責任を擦り付け合ったり、法廷で奇声を発したりするなど、その異様な振る舞いは当時のワイドショーや週刊誌報道で連日トップニュースとして報じられた。