赤ワインに関して最も広く流布している誤解が、「冷やさずに常温で飲むのが正しい」という言説です。ソムリエ協会や大手酒類メーカーの技術資料によると、ワイン用語における「常温(シャンブレ)」とは、フランスなどヨーロッパの伝統的な石造り家屋における地下室や室内の温度、すなわち15℃〜18℃前後を指しています。
夏場に28℃を超え、冬場でも暖房で22℃前後に保たれる現代日本の室内環境において、ボトルをそのまま放置した「常温」はワインにとって明らかに高すぎます。温度が20℃を超えると、揮発したアルコールの刺激臭が前面に出てしまい、繊細な果実味やアロマが覆い隠されてしまうのです。
銘柄のボディに応じた赤ワインの適温(温度)の目安は以下の通りです。
- フルボディ(重口):16℃〜18℃(触れるとほんのりひんやり感じる程度。飲む30分〜1時間前に冷蔵庫の野菜室に入れるのが理想)
- ミディアムボディ(中口):14℃〜16℃(冷蔵庫の野菜室で1時間程度冷やし、飲む15分ほど前に出しておく)
- ライトボディ(軽口):12℃〜14℃(白ワインに近い感覚で、冷蔵庫でしっかり冷やしてから楽しむとフレッシュな酸味が際立つ)
ワインセラーがない家庭でも、飲む前に「冷蔵庫の野菜室に40分〜1時間ほど入れる」だけで、ぼやけていた輪郭が劇的に引き締まり、心地よい果実の凝縮感を味わえます。