足元の開放感という絶大なメリットがある反面、実際に乗車した人々が「もう二度と選ばない」と口を揃える要因は何なのでしょうか。現場検証から浮かび上がった、新幹線最前列デメリットの代表的な5つの要素を整理します。
第1の落とし穴は、新幹線最前列ドア自動ドア音と人の出入りの激しさです。デッキとの仕切り扉の真横に位置するため、車内販売員、車掌、トイレや喫煙ルームへ向かう乗客が通るたびにセンサーが反応し、ドアが開閉します。「プシュー」「シャッ」という機械音に加え、開閉に伴ってデッキからの冷気・暖気、さらにはデッキの話し声がダイレクトに座席へ流れ込みます。特に東京〜新大阪間のような高密度区間では、数分に一度のペースで扉が開閉するため、熟睡したい人にとっては極めて過酷な環境となり得ます。
第2に、心理的な視線のストレスが挙げられます。デッキから客室に入ってきた乗客は、空席の確認や通路の動線を見極めるために自然と前方を直視します。最前列に座っていると、客室に入ってくる乗客と真正面から目が合いやすく、プライベート空間としての落ち着きが損なわれがちです。視線に敏感な人にとっては、長時間の乗車で精神的な疲労が蓄積する要因になります。
第3に、新幹線最前列荷物置き場の制限です。通常席であれば「前の座席の下」に足元用小型バッグやリュックを滑り込ませることができますが、最前列の正面は壁面パネルで塞がれているため、座席下スペースが存在しません。手荷物はすべて頭上の荷物棚へ上げるか、広大な足元スペースに直置きして自分の足元を狭めるかの2択を迫られます。
第4に、前述した「テーブルまでの距離」による身体への負担です。前のめりの姿勢でキーボードを叩き続けると腰や首への負荷が大きくなり、長時間のデスクワークには不向きです。そして第5に、新幹線最前列リクライニングにおける心理的ハードルがあります。最前列の後ろには当然ながら2番席の乗客が座っているため、後方へのリクライニング時は通常席とまったく同じ配慮が求められます。「自分は前からの圧迫感がないのに、後ろの人を圧迫するのは気が引ける」と遠慮してしまう乗客も少なくありません。