ヘンゼルとグレーテルあらすじ解説|原作の怖い結末と親が捨てた真相

ヘンゼルとグレーテルあらすじ解説|原作の怖い結末と親が捨てた真相

ヘンゼルとグレーテルあらすじ解説|原作の怖い結末と親が捨てた真相に関する深掘り解説を分かりやすく解説いたします。

ヤーコプとヴィルヘルムのグリム兄弟は、ドイツ各地に伝わる民間伝承や口承文芸を収集し、『子どもと家庭の童話集』としてまとめました。しかし、1812年に出版された初版は評判を呼んだ一方で、「内容がグロテスクで残酷すぎる」「子どもに読ませるには教育上不適切だ」という猛烈な批判にさらされることになります。

そこで弟のヴィルヘルム・グリムは、版を重ねるごとに大規模なリライトと道徳的推敲を施していきました。このテキストの変遷をデータと文献記録から追うと、物語がどのように「純化」されていったのかが克明に判明します。

比較項目1812年初版(原典)1857年第7版(決定版)編集部の見解・分析母親の属性実の母親(冷酷に遺棄を主導)継母(実母はすでに他界設定)「母性信仰」を守るための修正であり、家庭内道徳への配慮。父親の関与度妻の意見に容易に同意し加担苦悩し、最後まで反対する描写が追加父親の家父長的権威と温情を強調し、家族の再統合を正当化。宗教・信仰の要素神への祈りや言及はほぼ皆無「神様がお助けくださる」等の祈りが頻出ブルジョワ市民階層のキリスト教的倫理観を色濃く反映。帰還時の情景森を歩いて自力で帰宅する簡素な結末白い水鳥(白鳥)に一人ずつ運ばれる神話的モチーフの追加による儀式性・文学性の向上。

文芸研究者の調査によると、グリム兄弟は第1版から最終の第7版に至る約45年間の間に、計6回もの全面改訂を実施しています。初版の持つ生々しい農村のリアリズムは削ぎ落とされ、キリスト教的敬虔さと近代的な家族愛を称揚する物語へと入念に手直しされていったのです。

山口 彩花
著者

山口 彩花

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。