ネット上の掲示板やSNSでは、「偏差値が30台後半なのに、なぜ有名企業にこれほど内定者が出るのか」「数字が反比例していて不気味だ」といった声が散見されます。この疑問を解き明かす鍵は、大学が4年間で学生に注入する「教育付加価値」の構造にあります。
金沢工業大学の象徴とも言えるのが、1年次から必修として体系化されている「プロジェクトデザイン(PD)教育」です。これは単なる座学ではなく、企業や自治体が直面している未解決の課題に対し、チームを組んで原因を突き止め、試作品や解決策を提示する実践的なPBL(課題解決型学習)の先駆けです。
新卒採用を行う大手製造業・インフラ・IT企業の人事担当者への取材によると、現場から以下のような評価が寄せられています。
「難関国立大や東京の有名私立大の学生は学力試験の突破力は高いが、白紙の状態からチームで問題を発見し、他者と議論しながら試行錯誤する現場適応力にはバラつきがある。金沢工大の学生は、在学中に何度も挫折を経験し、レポート提出やプレゼンテーションの修羅場をくぐり抜けているため、入社直後から圧倒的に自走しやすい」(東証プライム上場・精密機械メーカー採用統括)
卒業生たちの進路には、トヨタ自動車、本田技研工業、三菱電機、日立製作所といった日本を代表する製造業をはじめ、大林組や鹿島建設といったスーパーゼネコンがずらりと並びます。大学通信が毎年公表する「実就職率ランキング」において、卒業生数千人規模の大学群のなかでトップクラスを維持し続ける背景には、企業側が「偏差値という過去の学力試験のスコア」ではなく、「4年間の過酷な訓練によって培われた現場遂行力」を高く買っているという明白な事実が存在します。