チョコボール向井の経歴を紐解くと、他の追随を許さない特異なバイタリティが浮き彫りになります。もともとはレスリングやボディビルで鍛え上げた筋骨隆々の肉体を武器に、1990年にAV界へ足を踏み入れました。当時の業界は、裏方的なポジションが強かった「男優」という職業が徐々にメディアの表舞台へと進出していく過渡期にありました。
その中で彼は、褐色の肌と圧倒的な持久力、豪快なキャラクターを確立し、瞬く間にトップランカーへ登り詰めます。出演本数は全盛期を通じて4,000本から5,000本以上に達したとされ、同時期に台頭した加藤鷹が「技術と心理戦」を売りにしたのに対し、向井は「超人的な肉体美とフィジカルの破壊力」で大衆を熱狂させました。
さらに異彩を放ったのが、プロレス界への本格進出です。幼少期からの憧れであったプロレスへの情熱を抑えきれず、大仁田厚率いるFMWや冬木弘道が主宰したWEWなどのインディーマットへ参戦。単なる客寄せパンダのタレント参戦にとどまらず、有刺鉄線デスマッチやハードコアマッチにも身を投じ、額から流血しながら受け身を取り続ける姿は、プロレスファンからも一目置かれる存在となりました。セクシー産業と格闘技という、肉体を極限まで酷使する二大ジャンルを同時に駆け抜けた男優は、歴史上彼をおいて他にいません。