華々しい受賞歴を誇る野木亜紀子ですが、そのキャリアは決して平坦なエリートコースではありませんでした。日本映画学校(現・日本映画大学)を卒業後、ドキュメンタリー制作会社で過酷なアシスタントディレクター(AD)を経験。その後、映画館での一般劇場スタッフ勤務などを経て、長年にわたりシナリオコンクールへの応募を続けました。
転機となったのは2010年、36歳の時に『さよならロビンソンクルーソー』で「第22回フジテレビヤングシナリオ大賞」を受賞したことです。遅咲きのデビュー以降、フジテレビやTBS、日本テレビ、WOWOW、NHKと放送局の垣根を越えて傑作を量産してきました。
自著やインタビューで明かされている通り、AD時代に培われた「現場の泥臭い現実を見つめる視座」や、映画館スタッフ時代に観客のリアルな反応を肌で感じ続けた経験が、現在の「地に足のついた脚本力」の源泉泉となっています。向田邦子賞、市川森一脚本賞、芸術選奨文部科学大臣賞、日本アカデミー賞最優秀脚本賞など、脚本家に与えられる国内の主要タイトルをほぼ制覇している事実は、その圧倒的な実力を物語っています。