「天上天下唯我独尊」という8文字だけで切り取られるケースが目立ちますが、漢訳仏典(『修行本起経』など)に記録されている誕生偈には、極めて重要な「続き」が存在します。
本来の全文は以下の通りです。
「天上天下 唯我独尊 三界皆苦 吾当安此」
(てんじょうてんげ ゆいがどくそん さんがいかいく ごとうあんし)
後半の「三界皆苦 吾当安此」は、「欲望や執着に満ちたこの迷いの世界(三界)は苦しみに満ちている。私はその苦しみに喘ぐすべての人々を安らかに導くために現れたのだ」という意味を持っています。
前段で「すべての命の尊さ」を説き、後段で「苦しみから人々を救済する覚悟」を宣言する構成となっており、傲慢どころか、慈悲と自己犠牲の精神に貫かれた言葉であることがわかります。