昭和の地上波でお茶の間を独占したオリジナル版『裸の大将放浪記』。そこにあったのは、言わずと知れた名優・芦屋雁之助が築き上げた圧倒的な存在感だった。白いタンクトップに穴のあいたズボン、リュックサックを背負って全国を巡る「おにぎり」好きの画家。そのイメージは日本人のDNAに刷り込まれていると言っても過言ではなかった。
当然ながらリメイクが決定した際、世論の目は厳しかった。「雁之助以外の山下清などあり得ない」「単なるお笑いタレントの話題づくりではないか」といった冷ややかな声が飛び交うのは避けられない宿命だったのだ。しかし、塚地武雅はその圧倒的なプレッシャーから逃げなかった。モノマネや表面的なトレースに逃げるのではなく、自分自身が持つ人間味を泥臭く役に注入する道を選んだのである。