あらためて当時の二人を振り返ると、住む世界があまりにも異なっていた。坂口杏里は、昭和の名女優として知られた母・坂口良子の娘として幼少期から光を浴び、バラエティ番組で見せる天真爛漫かつ危うげなトークで注目を浴びていた。世間知らずな一面と華やかな佇まいは、テレビ界において一種の清涼剤であり、同時にどこか冷や冷やさせる緊張感を孕んでいた。
一方の小峠英二は、泥臭い下積み生活を長年耐え抜き、2012年の「キングオブコント」で見事優勝を果たしてブレイクをつかみ取った生粋の叩き上げだ。所属するソニー・ミュージックアーティスツの尖ったお笑いカルチャーの中で磨き上げられた鋭いツッコミとどんな無茶振りにも折れない精神力は、お笑い界で唯一無二のポジションを確立していた。育ってきた環境も芸風も真逆の二人が惹かれ合った背景には、過酷な芸能界で戦う者同士の密やかな共感と、他者には窺い知れない純粋な情熱があったのだろう。