日本における中華まんの普及には、東西それぞれの名店が果たした決定的な役割が存在します。中国の三国時代、諸葛孔明が南蛮征伐の際に川の氾濫を鎮めるため作らせた「饅頭(マントウ)」を発祥とし、日本で独自に進化した歴史を辿ると、東西の代表格が見えてきます。
東のパイオニアである新宿中村屋は、1927年(昭和2年)に創業者の相馬愛蔵・黒光夫妻が中国・天津を訪れた際、現地の「包子(パオズ)」に着想を得て日本人好みの味に改良。「中華まんじゅう」として売り出したのが全国的なブームの火付け役となりました。具材には豚肉のほか、筍、椎茸、玉ねぎなどが細かく刻まれ、醤油やごま油をベースにしたバランスの良い味わいが確立されました。
対する西の象徴が、大阪名物として不動の地位を誇る551蓬莱(株式会社蓬莱)です。1945年の創業後、1946年に生まれた551の豚まんは、創業者らが「手軽に食べられてボリュームのあるスタミナ源を」と開発。具材をあえて豚肉と玉ねぎのみというシンプルな構成に絞り込み、ダイスカットされた粗挽き豚肉のジューシーな甘みと、甘みのあるモチモチとした弾力生地で圧倒的な支持を獲得しました。