『史上最強の弟子ケンイチ』が長年にわたり読者を熱狂させ続ける根源は、原作者・松江名俊が妥協なく描き抜いた「徹底的な修行と理合(りあい)に裏打ちされた肉体格闘」にあります。
いじめられっ子だった白浜兼一が足を踏み入れた武術道場「梁山泊」には、常軌を逸した規格外の達人たちが集結しています。「無敵の超人」と称される長老・風林寺隼人を筆頭に、空手の逆鬼至緒、柔術の岬越寺秋雨、中国拳法の馬剣星、ムエタイのアパチャイ・ホパチャイ、そして武器術の香坂しぐれ。彼らが兼一に課す地獄の修行メニューは一見ギャグ漫画の域に達していながら、その根底には武術の本質と哲学が緻密に織り込まれています。
アニメ版を視聴して続きが気になっているファンにとっても、原作漫画の読破は外せません。かつてテレビ放映されたアニメ(全50話)は、武闘勢力「諸神黄昏(ラグナレク)」の幹部・八拳豪との激闘を描く原作単行本第16巻中盤(ロキ・バーサーカー・オーディン戦)までで一旦の幕を閉じています。その後に展開されたOVAシリーズでも27巻付近までの描写にとどまっており、物語の真骨頂である闇の武術集団「一影九拳」やその弟子集団「YOMI(黄泉)」との世界規模の全面抗争は、原作漫画でしか味わうことができません。