無限城編における上弦の弐・童磨との一騎打ちは、鬼滅の刃屈指の壮絶なドラマを生み出しました。姉の仇である童磨と対峙したしのぶは、持てるすべての蟲の呼吸と調合毒を注ぎ込み、全身全霊の連続攻撃を仕掛けます。しかし、毒を瞬時に分解・無力化し、冷気で肺を壊死させる圧倒的な実力差の前に、しのぶの肋骨や肺は容赦なく破壊されていきました。
自らの肉体が童磨の腕の中で抱え込まれ、骨が砕かれる絶望的な状況下で、駆けつけた愛弟子・栗花落カナヲへ向け、しのぶは声を出せない状態で指文字による合図を送ります。「決して取り乱さず、呼吸を整えて好機を待て」という無言の指示を残し、しのぶは童磨の体内へと吸収され、非業の死を遂げました。
しかし、この敗北と死こそが、しのぶが1年以上にわたって自らの肉体を実験台にして仕組んだ「必殺の罠」でした。彼女は毎日少しずつ藤の花の毒を摂取し、自らの体重(37kg)に匹敵する致死量700倍の超高濃度毒を肉体全体に蓄積させていたのです。童磨が彼女を丸ごと喰らったことで毒が体内全域に回り、身体が崩壊を始めます。
伊之助とカナヲの連係によって首を落とされ、生と死の狭間で魂となった童磨は、自らを欺き命懸けで嵌めたしのぶの霊体に恋心を抱き、「俺と一緒に地獄へ行かない?」と気味の悪い求愛を告げます。その瞬間にしのぶが満面の笑みで言い放った最期の言葉が、「とっととくたばれ 糞野郎」でした。
このセリフは、姉の面影を演じ続けた「聖女の仮面」を完全に脱ぎ捨て、一人の生身の人間として宿敵を完全に打ち破った究極のカタルシスを示しています。読者の間でも「作中最高の罵倒」「これ以上ない完璧な幕引き」として、連載から年月を経た今も語り草となっています。