日本における皮膚癌の中で、とりわけ予後不良とされ警戒されているのが悪性黒色腫(メラノーマ)だ。日本人のメラノーマは、欧米人に多い体幹部や顔面ではなく、手足の平や爪部に好発する「末端黒子型」の割合が高い特徴を持つ。
日本皮膚科学会が策定する『皮膚悪性腫瘍診療ガイドライン』でも、爪部の悪性黒色腫は早期発見の難易度が高い部位として特別な注意喚起がなされている。臨床皮膚科学の見地からも、初期のメラノーマは良性の色素沈着と外見上の区別がつきにくく、放置すればリンパ節や他臓器への遠隔転移を引き起こすリスクが跳ね上がる。黒い点の直下に腫瘤(しこり)ができたり、爪が縦に割れたり変形し始めた段階では、すでに病変が進行している恐れがある。