正統派の重厚な芝居にとどまらないのが、この女優の真の恐ろしさだ。重厚な時代劇で武家の母を凛とした所作で見せたかと思えば、大ヒット映画『銀魂2 掟は破るためにこそある』ではスナックの女将・お登勢役を完璧なビジュアルと凄みで体現し、原作ファンからも絶賛を浴びた。
タバコをくゆらせ、荒々しい言葉遣いの奥に深い情を滲ませるお登勢の姿は、若い頃からアングラ演劇やコメディの現場で培ってきた「枠からはみ出す面白さ」を証明するものだ。整った顔立ちを惜しげもなく崩し、キャラクターの魂そのものになりきる潔さ。キャリアを重ねるごとに表現のレンジを広げ続けるバイタリティは、衰えるどころか年々鋭さを増している。