刑事責任と並行して世間の注目を集めたのが、企業側から犯人側に対する損害賠償請求の行方です。スシローにおける「醤油ペロペロ事件」では約6,700万円の損害賠償請求訴訟が提起された後に調停和解へと至った前例がありますが、くら寿司においても徹底した損害賠償請求の協議が進められました。
回転寿司チェーンにおける損害賠償の内訳は、単なる「汚された醤油ボトルの買い替え費用」や「廃棄した食材費」にとどまりません。全席の消毒・清掃にかかった特別人件費、再発防止のために導入された監視システムの開発・運用費用、そして何より客離れによる売上機会の損失や下落した株価に起因する企業価値の毀損など、算出根拠を厳密に積み上げれば数千万円から数億円規模に達します。
法律関係者の証言によると、くら寿司側は加害者本人だけでなく、未成年の場合は監督責任を持つ保護者に対しても徹底した話し合いを求めました。加害者に支払い能力がない場合でも、自己破産で逃げ切ることは容易ではありません。悪意ある不法行為に基づく損害賠償請求権は、破産法上「非免責債権」に分類される可能性が高く、生涯にわたって給与の差し押さえなどのリスクを背負い続けることになります。