父は稀代のメロディメーカー、母は日本屈指の女性プレイヤー。その血を引いた子供たちにかかる重圧は、凡人の想像を絶するものがあった。特に音楽の道を志した長男にとって、「サザンの桑田佳祐の息子」という肩書きは、名誉であると同時に乗り越え難い巨大な壁でもあったのだ。
デビュー初期、彼は親の名前を徹底して隠し、下北沢や渋谷の小さなライブハウスで機材を自ら運びながら汗を流した。親のコネを使えばいくらでも大きなステージが用意されたはずだが、それを頑なに拒んだ姿勢にこそ、桑田家の気骨が宿っている。現在、親子関係は非常に良好で、互いを一人の表現者として尊重し合うフラットな関係へと成熟した。食卓を囲みながら最新の洋楽やポップ・ロックのトレンドについて語り合う時間は、何物にも代えがたい財産となっているという。