食品・調理科学の研究においても、部位によるイソチオシアネートの生成量の差は明確に実証されている。先端部分は葉元部分に比べて細胞が細かく密度が高いため、すりおろした際に酵素反応が爆発的に進みやすい。これが、先端を使った大根おろしが涙の出るほど辛くなる最大の理由だ。
興味深いことに、イソチオシアネートは揮発性が高く、時間が経つと空気中へ逃げていく性質を持つ。また、熱にも弱いため、加熱調理することで辛味が失われ、本来の甘味が前面に出てくる。生で食べるか、火を通すかによって、化学変化のドラマが鍋の中で展開されているわけだ。