歩くと痛い原因として中高年層に圧倒的に多いのが変形性股関節症です。股関節のクッションである軟骨がすり減り、骨同士が衝突することで炎症が起こります。初期段階では「立ち上がる瞬間に少し痛むが、歩き続けると軽くなる」という特徴がありますが、進行すると安静時や夜間の就寝中にも激痛が生じるようになります。
一方で、関節自体ではなく神経の圧迫が原因となるケースも見逃せません。腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症によって神経根が刺激されると、腰だけでなく太ももの外側から前面にかけて強いしびれや電撃痛(坐骨神経痛や大腿神経痛)を引き起こします。
急を要するサインとして注意すべきは鼠径ヘルニアの嵌頓(かんとん)です。立ち上がったときや腹圧をかけた際に足の付け根がポコッと膨らみ、指で押すと引っ込む状態は初期の脱腸ですが、脱出した腸が筋肉の隙間に挟まって戻らなくなると激痛と嘔吐を伴います。血流が途絶えて腸が壊死する危険があるため、押しても戻らない急激な激痛が生じた場合は即座の救急受診が必要です。