従来の焼き肉店が直面してきた「火力のムラ」と「水分保持」という二律背反。この難題に対し、圧倒的な解を提示したのが独自の加熱技法だ。熱伝導率の異なる備長炭と、芳しい香りを纏わせる薪を緻密に組み合わせることで、肉表面を瞬時に焼き固めつつ、内部の水分と旨味の蒸発を極限まで防ぐ。一口噛み締めると、外側の香ばしい芳香の直後に、閉じ込められていた濃密な肉汁が溢れ出す。
火入れの技術は、もはや科学と芸術の領域に達している。肉の部位ごとに異なるタンパク質の変性温度を見極め、わずか数秒単位で網上の位置をコントロールする。焼き上がった肉を休ませる「レスト」の時間まで計算し尽くされたプロセスは、熟練の職人技と飽くなき探求心の賜物にほかならない。