原宿駅のホームを降りて代々木公園方面へ歩くと、圧倒的な存在感を放つ国立代々木競技場第一体育館が視界に飛び込んでくる。世界的建築家である丹下健三が設計を手がけ、1964年東京オリンピックの舞台として誕生したこの建造物は、現在も独立行政法人日本スポーツ振興センターによって厳格に維持管理されている。支柱を一本も使わずに大空間を支えるサスペンション構造(吊り屋根)は建築史の金字塔だが、このダイナミックな舟底型の形状こそが、アリーナ席の視界に独特の明暗をもたらしている。
柱がないため、スタンド席を含めて視界を遮る基本構造物は存在しない。しかし、フロア自体が縦に細長い楕円形を描いているため、ステージが長手方向(エンド側)に設置された場合、後方ブロックとメインステージとの距離感はドーム規模に匹敵する感覚へと引き延ばされる。横幅が狭く縦に長い空間だからこそ、座席のブロック位置が生死を分けるのだ。