ホテルのすぐ西側には、壮大な伽藍を誇る東本願寺が控える。朝の澄んだ空気のなか、烏丸通を渡って境内へ散策に出かけるのは、ここに泊まる者だけに許された贅沢な特権だ。数百年続く信仰の場の重厚なスケール感と、宿に戻ったときに迎えてくれる洗練された和モダン建築の対比が心地よい。
格子戸を透かして差し込む柔らかな自然光、素足に触れる畳の清々しさ、ミニマルに設えられた調度品。日本の伝統工藝が持つ緊張感を和らげ、日常のストレスを解きほぐす空間造形は見事というほかない。無駄を極限まで削ぎ落としながらも、決して冷たくならない温もりが、旅人の肩の力を抜いていく。