二人の原点は、今から40年近く前にさかのぼる阿佐ヶ谷美術専門学校(通称:阿佐美)時代にあります。同校の同級生として出会った二人は、当時から映像制作と表現に対して並々ならぬ熱量をぶつけ合っていました。
在学中から佐藤嗣麻子氏の才能は際立っており、卒業後は単身イギリスへ渡り名門ロンドン・インターナショナル・フィルム・スクールで本格的に映画制作を学びました。帰国後、1992年に『ヴァージニア』で劇場映画監督デビューを飾り、海外映画祭でも高く評価されるなど、早くから国際的なクリエイターとしての頭角を現していました。
一方の山崎貴監督は、専門学校卒業後に株式会社「白組」に入社。特撮・VFXの現場で技術を磨きながら長年チャンスを伺い、2000年の『ジュブナイル』で念願の映画監督デビューを果たします。2024年4月20日に行われた『陰陽師0』の公開記念舞台挨拶に山崎監督がサプライズ登壇した際、自身のキャリアを振り返って次のように明かしています。
「専門学校時代、彼女が先にロンドンに留学して映画を撮り始めていて、ものすごい刺激を受けた。僕が映画監督になった原点はある種、彼女なんです」
互いがライバルであり、誰よりも表現への執念を理解する理解者。長年の交際期間を経て結婚に至った背景には、甘いロマンス以上に「クリエイターとして生涯対等に刺激し合える同志」という深いリスペクトと強固な絆がありました。