シャトレーゼの焼き菓子コーナーにおいて、梨恵夢はまさに「不動のセンター」と呼ぶべきポジションを確立しています。洋菓子店の一般的なフィナンシェやパウンドケーキが1個150円〜250円程度で推移するなか、梨恵夢の値段推移を振り返ると、かつての54円(税込)時代から価格改定を経た現在でも1本64円(税込)という、駄菓子感覚に近い破格の設定を貫いています。
消費経済の視点から見れば、この価格設定は「手にとる心理的ハードル」を完全に消滅させています。買い物客が「自分用のおやつに2本、家族へのお土産に5本」と無意識にトレーへ追加してしまう、いわゆるついで買いの絶対的トリガーとして機能しているのです。
しかし、単に安価なだけでは四半世紀を超えるロングセラーにはなり得ません。最大の秘密は、しっとりとしたスポンジ生地の内側に、ミルク風味やさつまいも風味の「特製白餡」を包み込んでいる点にあります。ケーキの洋風感と白餡の上品な和テイストが融合した独自のテクスチャーは、子どもから高齢者まで幅広い年齢層の味覚に寄り添い、どこか郷愁を誘う親しみやすさを生み出しています。