訪れる客の9割以上が注文すると言っても過言ではないのが、四川御影店の代名詞である「麻婆豆腐」と「担々麺」です。提供された瞬間に立ち上る香気の密度からして、一般的な中華料理店のそれとは明確に異なります。
運ばれてきた麻婆豆腐は、深紅の辣油に沈む滑らかな豆腐、粗挽きの豚肉、そして青々とした葉にんにくが美しいコントラストを描き、表面にはたっぷりと花椒の粉末が振りかけられています。レンゲですくい口に運んだ瞬間、まず広がるのは豆板醤と豆豉の重厚な旨味。ワンテンポ遅れて鋭利な唐辛子の辛さ(辣)が舌を刺激し、最後に花椒の鮮烈な痺れ(麻)が脳天を突き抜けます。豆腐は型崩れせず中心まで熱が通り、絹ごしのような滑らかさを保ちながら肉の濃厚な脂を受け止めています。白米との相性は驚異的で、セットのご飯があっという間に空になるのも納得の仕上がりです。
一方の担々麺も、看板を二分する傑作として名高い一品です。丼の底に潜む濃厚な胡麻ペースト(芝麻醤)の豊かなコクと甘みが、自家製辣油のシャープな辛さを包み込みます。スープを口に含むと、クリーミーな舌触りの奥から複雑なスパイスの余韻が広がり、ちぢれ麺がその重層的な旨味を余すところなく絡め取ります。「普通」のオーダーでも一般的な基準から見れば十分に辛口であり、毛穴が一気に開くような爽快感を味わうことができます。辛いものが得意な常連客は辛さ増しをリクエストする一方、刺激に敏感な方は辛さ控えめを指定するなど、個々の味覚に応じた微調整にも柔軟に応じてくれる点が現場での満足度を押し上げています。