ネット上の掲示板やSNSでは、アリス系列店の相次ぐ閉館を見て「コンセプトレストランというビジネスモデル自体が時代遅れ(オワコン)になったのではないか」と結論づける論調が見られます。しかし、外食産業のデータと消費者行動の分析からは、まったく異なる事実が見えてきます。
誤解の根本にあるのは、「写真映え(インスタ映え)」の消費形態が変化したことです。かつてのコンセプトレストランは、珍しい装飾の前で料理の写真を撮り、SNSにアップロードする「視覚的 novelty(新奇性)」に依存していました。しかし2020年代以降、消費者の価値観は「単に綺麗な写真を撮る」ことから、「自分自身が物語や推しの世界の一部になる」没入型体験(イマーシブ体験)へと完全にパラダイムシフトしました。
実際、現在ヒットしている池袋や新宿の体験型カフェは、アニメやゲームの公式IPと連動した本格コラボカフェや、高品質な紅茶とパティシエ特製スイーツを提供する予約制アフタヌーンティーサロンです。つまり、アリスの世界観が飽きられたのではなく、「日常使いの延長にあるファミレス型テーマカフェ」から「高単価・高付加価値な完全予約制イマーシブダイニング」へと市場が高度化したというのが業界の真実です。